Translation/Puranic_Encyclopedia/raktaja のバックアップ(No.2)


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Translation/Puranic_Encyclopedia/raktaja

ラクタジャ

(Puranic Encyclopediaから和訳)

http://sanskrit-lexicon.uni-koeln.de/scans/PEScan/2014/web/mobile1/?key=raktaja

 


 ラクタジャは、前世におけるアルジュナと考えられている存在である。以下の物語が、パドマ・プラーナの第14章に語られている――アルジュナが、カリとドゥヴァーパラが合わさる時代、かのように生まれ落ちた所以について。そして、スヴェーダジャがカルナとして同じ時代に生まれた所以について。


 あるとき、シヴァとブラフマーの間に諍いが起こったとき――前者がブラフマーの首を切り落としたためであるが――汗の雫が、怒れるブラフマーの額に滲んだ。ブラフマーが手で拭ったその汗から、千の盾と弓と箙を身に纏った男が生まれた。その男がスヴェーダジャである。ブラフマーに何を行うべきか訊ねた彼は、シヴァを滅ぼす許可を与えられた。

 彼は弓を引き絞りながらシヴァに迫り、恐れたシヴァは、ヴィシュヌのもとに走って庇護を求めた。スヴェーダジャはシヴァを追い、ヴィシュヌは彼を見て、「ふん」という大音声を上げた〔これによりスヴェーダジャは気絶してしまう〕。


 シヴァはヴィシュヌの足元に平伏すると、掌に載せた〔シヴァが切り落としたブラフマーの首の〕頭蓋骨を〔施物の容器に見立てて〕ヴィシュヌに差し伸べて、施物を与えてくれるよう求めた。

 大いなるヴィシュヌは、シヴァに与えるものを何も持っていなかったので、施物として右手を頭蓋骨の中に入れた。シヴァはその手をシューラ【三叉の武器】で傷付けた。鮮やかな紅の血が手から頭蓋骨の中に流れ出した。

 血は千年の間、5ヨージャナの長さと10ヨージャナの深さで流れ続けた。その終わりになって、ヴィシュヌは頭蓋骨がまだ満たされていないかどうかと訊ねた。シヴァは三つの眼で頭蓋骨を覗き込むと、満たされたと答えた。そこで、ヴィシュヌは血の流れを止めた。

 シヴァは、ヴィシュヌの立ち会いのもと、千年かけて、血を覗き込んで、手でそれをかき混ぜた。血は次第に泡に変わり、千の手を備え、炎のように輝く男が頭蓋骨の中に生まれた。彼は頭に冠を戴き、弓と箙を携えて、手袋を手に嵌めていた。それがラクタジャ、聖仙ナラの化身である。


 ラクタジャを見て、シヴァはヴィシュヌに言った。

 「この弓術の達人はナラである。貴方がナラと言ったから〔おそらくヴィシュヌが彼をナラ=人間と呼んだ?〕、それを彼の名としよう。ナーラーヤナよ、貴方たち二人はナラ・ナーラーヤナという一対の名で呼ばれるだろう。

 このナラは貴方の助けになるだろう――神々の代理として、世界を維持し、守護するために。彼は貴方がアスラたちを殺すのを助けるだろう。ナラは、偉大なる知慧の主である彼は、知慧を超越して、聖者《ムニ》となるだろう。

 ブラフマーの神聖なる第五の首〔頭蓋骨〕は、膨大なる光輝を有している。ナラは、その光輝から、そして貴方の手から流れた血から創られ、私がそれを視た。〔ブラフマーの頭蓋骨にヴィシュヌの血を入れて、シヴァが見詰めながらかき混ぜて生まれた。〕

 彼は、戦争において全ての敵を絶滅させるだろう。彼は、貴方にも、インドラにも、他の神々にも征服できない者たちにとっての恐怖となるだろう。」


 ヴィシュヌが立っていたので、驚いたラクタジャは、彼〔ヴィシュヌ〕とシヴァを、合掌して礼賛すると、頭蓋骨の中から、何をすればいいか訊ねた。そこでシヴァは命じた。

 「ブラフマーが自身の光輝から創り出した、あのアスラ【スヴェーダジャ】を殺せ。」シヴァは両手でラクタジャを頭蓋骨の外に出すと、再び彼に言った。「見よ。ここに私が語った恐ろしい男が横たわっている。ヴィシュヌの『ふん』という大音声により気絶したのだ。ただちに彼を起こせ。」言い終えると、シヴァは消え失せた。

 ナラは、ナーラーヤナの立ち会いのもと、気絶したスヴェーダジャを左足で蹴飛ばした。彼は気絶から目覚めた。ラクタジャとスヴェーダジャの間に起こった激しい戦いは、2年間つづいた。それにより、スヴェーダジャは一つの盾を除いた全てを失い、ラクタジャは二本の腕のみを武器として残していた。〔千の盾と千の腕を持っていたが、一組を残して失った。〕


 このとき、非常に不安になったヴァースデーヴァ【ヴィシュヌ】は、ラクタジャはすヴェーダジャを殺し得ないだろうかどうかと、ブラフマーに訊ねた。ブラフマーは答えた。「次の生において、ナラはスヴェーダジャを殺すであろう。」そこで〔ヴィシュヌは?〕言った。「宜しい、そのようにしよう」

 ヴィシュヌは戦場に戻り、以下のように保証して、彼らを戦いから引き離した――カリとドゥヴァーパラの境目の時代、彼らは再び戦う機会を与えられるだろう――と。


 そののち、ヴィシュヌはアーディティヤ【スーリヤ】とアーカンダラ【インドラ】に、ラクタジャとスヴェーダジャの後見となるよう指示した。

 彼はアーディティヤに語りかけた。「ドゥヴァーパラ・ユガの終わりに、貴方は目の当たりにするだろう。デーヴァたちのために、貴方の息子として、スヴェーダジャが生まれ変わることを。

 ヤドゥ族に、非常に強力なシューラと呼ばれる者が生まれる。彼は、非常に美しいプリターという名の娘を得るだろう。ドゥルヴァーサスは、恩恵として彼女に諸々の呪句《マントラ》を授けるだろう。彼女は、そのマントラにより呼び出した神々から、息子たちを得るだろう。

 その目的〔息子を得ること〕のために、月経の時期、夜明の刻限に、彼女は貴方を愛情を込めて視るだろう。そして彼【スヴェーダジャ】は、処女クンティーの、ヴァスシェーナと呼ばれる息子として生まれ落ちるだろう。」

 太陽神は、ヴィシュヌの指示に従うことに同意して、次のように語りかけた。「私は、その処女の胎に非常に強力で勇敢な息子を設けるだろう。彼は、カルナとして世に名高く知られるようになるだろう。彼は、全ての富をバラモンに贈るだろう。」このように言うと、スーリヤは消え失せた。


 こののち、ヴィシュヌはインドラに次のように語りかけた。「貴方は、ドゥヴァーパラ・ユガの終わりに、目の当たりにするだろう。この血から生まれたナラが、地上における貴方の分身として生まれ変わることを。

 パーンドゥ王は、あるとき、妻たち――クンティーとマードリー――と森に入り、獣の呪いの的となってしまうだろう。そのため彼は、隠遁の精神からシャタシュリンガ山に赴き、クンティーに他の男の力によって母になってくれるよう頼むだろう。

 そうすることを望まないクンティーは、神々により息子たちを得ることを欲するだろう。そして彼女が貴方に祈ったとき、貴方はこのナラを息子として授けるべきである。」

 インドラ神は、ヴィシュヌの指示に次のような反論を申し立てた。「貴方は、最後のマンヴァンタラ〔マヌの時代〕の27番目のユガのとき、ラーヴァナを殺す目的のために、ラーマとして自ら化身して、我が息子バーリ〔ヴァーリン〕を殺した。そのため、私はナラを息子として生みたくない。」

 このインドラの反論のために、ヴィシュヌは以下のように保証した。バーリ殺しの過ちの償いとして、彼〔ヴィシュヌ≒クリシュナ〕が、インドラの息子として生まれ落ちるナラ【アルジュナ】の朋友となることを。


 このような約定と経緯により、ラクタジャとスヴェーダジャの間の戦いは終了した。次の生において、ラクタジャはアルジュナとして、そしてスヴェーダジャはカルナとして生まれた。大いなるヴィシュヌは、自ら聖クリシュナとして化身した。この三者の戦場での邂逅は有名である。


 

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